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世界バイオ燃料シンポジウム 報告者:松村 幸彦 |
開催日時 : 2005年11月13日(日)〜15日(火) |
場 所 :北京 北京王府飯店 |
世界バイオ燃料シンポジウムが北京で11月13日(日)〜15日(火)開催されました。場所は、北京王府飯店です。
この会議は、米国のミネソタ州の農業部が中国と共催したもので、ミネソタ州知事も来て講演を行いました。
13日はレセプションのみで、シンポジウムは14、15日でした。
松村は15日に別の会議に出席する必要があり、そちらの手配もあって14日の午前中と午後の一部のみの参加でした。
この部分について報告します。
<午前>
最初にLiu Dehua(劉徳華)、Zhu Guangyao,から開会の挨拶並びに歓迎のことばがあり、続いて講演に入りました。
Qun Liu (中国国家発展改革委員会)
中国のエタノール産業の状況について。既に9省においてエタノール混合燃料が用いられており、
来年から始められる第11次5カ年計画でも導入が進められる予定。
パネルディスカッション「世界のバイオ燃料」
司会: Kurt Markham (米国 ミネソタ州農業部)
パネリスト:
Randall Doyal (米国 アルコム・クリーン・フューエル社)
米国のエタノールの歴史。現在、トウモロコシ生産量の11%はエタノール生産に用いられ、国内で使われるガソリンの30%がE10。
Rakesh Sarin (インド インディアン・オイル・コーポレーション)
インドのバイオディーゼルについて。半乾燥地でも植えられる油糧作物であるJatropha
の紹介。
インドでは、鉄道で5〜10%のバイオディーゼル利用も行われる。
松村幸彦 (日本 広島大学)
日本のバイオ燃料の状況。E3は認められたが導入促進策はなく、バイオディーゼルは規格制定中。
技術開発も進められている。
基調講演
Tim Pawlenty (米国ミネソタ州知事)
ミネソタ州は米国におけるバイオ燃料の導入をリードしてきた。エタノール生産へのインセンティブを与え、地域の雇用を創出。
現在10%のものを2013年には20%にしたい。また、税制優遇地域を設置、エタノール会社などが利用している。
招待講演
Duarte Noguiera (ブラジル 農業事務次官)
本人は来られず、米国の実状を良く知っている人が代わりに説明。世界とブラジルのエタノール生産動向。
ブラジルはずっと生産を続け、その生産量も増加しているが、米国が急激に追いついている。
昨年販売された自動車の63%がフレキシフューエル車(ガソリンとエタノールの任意の割合の燃料で走る車)。
エタノールの生産コストは0.23米国ドル/Lで、生産可能量は
800万kL/年。
<午後>
パネルディスカッション「エタノールとバイオディーゼルの応用」
司会: Kurt Markham (米国 ミネソタ州農業部)
パネリスト:
Lanny Schmidt (米国 ミネソタ大)
Kristin Weeks Duncanson (米国 ミネソタ州知事バイオディーゼル・タスクフォース)
Pat Geng (米国 ゼネラル・モータース)
パネルディスカッション「バイオ燃料生産」
司会: Kathy Bryan (BBI インターナショナル社)
パネリスト:
Duan Gang (ジェネコア・インターナショナル社)
新たな酵素を適用することによって、これまで85-90℃で蒸煮する必要があった小麦粉からのエタノール生産を、
最大60℃の処理で効率よく実現。
Randy Ives (ユーナイテッド・バイオエナジー・イングリーディエンツ社)
エタノール発酵後の蒸留残さを低温で処理することによって、より栄養価の高い飼料を生産。
高木忍 (ノボザイム・ジャパン社)
バイオディーゼル生産のエステル交換反応を触媒する酵素(アルカリを使わなくて済む)、
糊化しなくても効率よくデンプンの加水分解を行う酵素など、ノボザイムの開発状況の紹介。
発表者を見て分かるとおり、米国ミネソタ州と中国がほとんどで、
それでも「世界」と名前がついてしまうのが米国のやり方と言えばそうかも知れません。
それよりも、米国もかなりバイオ燃料を押し進めており、中国に入り込んでいることが伺えます。
特に、中国でビジネスをするには、中央政府と強いつながりを持って進めることが重要と言われますが、
今回は中国の農業部もしっかり巻き込んで進められており、バンケットも天安門広場の人民大会堂という、
普段は観光でしか入れないところで大々的に行われ、本腰を入れた対応となっています。
米国がバイオ燃料を買おうとしているのか、売ろうとしているのか、あるいは技術を輸出しようとしているのか、
はっきり分かりませんでしたが、中国側でもバイオ燃料ビジネスを大きな商機と捉えている様子はうかがえました。
以上です。