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第7回国際超臨界流体シンポジウム

報告者:松村 幸彦
開催日時 : 2005年5月1日(日)〜4日(水)
場   所 : アメリカ オーランド        


2005年5月1日〜4日、米国オーランドにて第7回国際超臨界流体シンポジウムが開催されました。
この会議は通常3年ごとに米国、日本、欧州持ち回りで開催されているものですが、今回は例外的に2003年の2年後に開催されました。次回は2006年11月に京都で開催の予定です。バイオマスエネルギー関連の発表について報告します。

Ogihara et al., ゲル状バイオマスの超臨界水中における変換の直接観察
ダイアモンドセルでスターチゲルが超臨界水中で分解する様子を観察。
低濃度では何も残らず分解するが、高濃度では液相は黄色くなり、CH結合を有する固体が生成。

Larsenl et al., 実用化への道−含水性バイオマスの輸送用燃料への触媒変換
カールスルーエのバイオマスの超臨界水処理技術を基本に、SCF Technologies社が実用化研究を進める。
直接液化に近い反応を進行させ、液体燃料として利用することを検討。

Matsumura et al., 反応する超臨界水溶液の管内熱伝達特性
超臨界水ガス化の昇温部分での反応を模擬して、管型連続反応器で進行しているグルコースの酸化反応場への伝熱特性を測定。
反応の進行があると伝熱特性が亜臨界温度域で大きく向上。

Matsumura et al., 原料昇温速度の確認とその超臨界水ガス化への影響
グルコースの超臨界水ガス化で原料グルコースの昇温速度を変えてガス化反応を進行させたところ、
昇温速度が大きいほどガス化特性も向上することを確認。
温度による反応場の特性変化を考慮する必要性を指摘。

このほか、バイオマス関連ではセルロース系バイオマスを原料とすることを想定した超臨界二酸化炭素中での?
-メチル-?-メチレン-?-ブチロラクトンの生成、超臨界二酸化炭素中でのバイオポリマー上への炭酸カルシウム膜の生成、加圧熱水を用いたタマネギ廃棄物からのケルセチンの抽出、海洋シアノバクテリアからのカロテノイドの超臨界二酸化炭素抽出、
ポリ乳酸の水熱加水分解によるケミカルリサイクルの発表がありました。

バイオマス分野における超臨界流体の利用は、反応場を利用しての転換、抽出溶媒としての利用、
反応場としての有用物質合成またはケミカルリサイクルが考えられていることがわかります。

以上です。

※この報告は、日本エネルギー学会バイオマス部会用に用意したものを転載したものです