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第14回エネルギー産業ならびに気候保護のための
欧州バイオマス会議および展示会


報告者:松村 幸彦
開催日時 : 2005年10月17日(月)〜21日(金)
場   所 :パリのPalais de Congres(会議場)    

<一日目>
第14回エネルギー産業ならびに気候保護のための欧州バイオマス会議および展示会が現在パリで開催されています。
会期は2005年10月17日(月)〜21日(金)、会場はパリのPalais de Congres(会議場) です。

この会議は、第13回ヨーロッパバイオマス会議に続くものですが、これまで2年間隔であったものが
、昨年のローマから1年しか経っていないのに開催されました。

配布された参加者リストによれば約1000人の参加者と50近い展示が行われています。

17日には、全体セッションの後にオープニングという順序を入れ替えたプログラムとなっており、
その後、3つ並行で12の口頭発表のセッションとポスターセッションが行われました。
口頭発表のセッションリストは次の通りです。

OA1, OA4, OA7 R&D of Bioenergy Conversion Technology Systems. Thermochemical Conversion - Gasification and Pyrolysis
OA2, OA5 International Co-Operation for Accelerating the Large-Scale Worldwide Deployment of Bioenergy.  Biomass in
the Developing World
OA3, OA6, OA9 Application of Biomass for Energy and Industrial Products
OA8 Demonstration and Market Implementation of Bioenergy in the Heat and Electricity Sector

また、ポスターセッションは17〜18日と19〜20日にわけて行われました。
また、これと並行して18、19、21日にはワークショップがセッションと並行して行われ、個別トピックについて議論されます。

松村が参加したのは全体セッションとオープニングセッションそしてOA1, OA4, OA7の一部と企業展示ですので、
これらについて以下に報告します。
このほかのセッションあるいはワークショップに参加された方は、簡単に整理したものをメーリングリストに上げていただくか
あるいは松村にお送りいただければ幸いです。

<全体セッション>
Boerringter(ECN, オランダ)"Biosyngas" Key-intermediate in production of renewable transportation of fuels,
chemicals, and electricity
急速熱分解でバイオスラリーとして、これを噴流床ガス化でガスとし、各種の製品を得る技術の紹介。
Arjona(Abengoa Bioenergy, スペイン)Overview on biofuels
同社のバイオ燃料のプロジェクトの紹介。
Bridgwater(Aston Univ., イギリス)An update on fast pyrolysis
急速熱分解の各種方式の整理と事例の紹介。
Stahl(Decente, スウェーデン)CHRISGAS Project-Clean hydrogen-rich gas through biomass gasification and hot gas
upgrading
ベルナモのプラントを作り直して、水素を主とするガスを得るクリスガス計画の紹介。詳細は、www.chrisgas.com
Hofbauer(Vienna Univ., オーストリア)CFB steam gasification
グッシングのガス化装置の紹介。2002年1月に運転開始し、油で生成ガスを冷却してタールを回収、これを分流して油を分離、
循環するプロセスを有する。
Lesoot (Observ'ER, フランス) Key figures and trends in the biomass markets today
現在の欧州のバイオマス燃料の生産状況を紹介。詳細は、www.energies-renouvelables.org

<オープニングセッション>
Sjunnessonの司会で、欧州委員会、ドイツ会議、IEAバイオエナジーからの挨拶、Linneborn賞の授与(Wolfgang Palz)、があり、
開会宣言がなされた。

<個別セッション>
OA1.1 Van de Steene(CIRAD-Foret, フランス) Development of a two stage gasification demo-plant for heat and energy
production lift off project

OA1.2 Lettner (Graz Univ. Tech., オーストリア) Staged biomass gasification system for small and medium CHP-Concept and
Analysis

OA1.3 Stoholm (Danish Fluid Bed Technology, デンマーク) The low temperature CFB gasifier-First results from the 500 kW
test plant
特にアルカリを多く含む場合にガス化における灰の溶融が問題となるので、650°の低温でガス化、ガス化率は下がるが、
残りのチャーを燃焼して熱回収。
わらや豚糞などをガス化

OA1.4 Branca (Univ. Naples, イタリア) Gasification and oxidation kinetics of wood-tar in supercritical water
アップドラフトガス化のタールを超臨界水処理する試み。内径2 cm程度の超臨界水反応器でガス化と酸化を行い、
1次の反応速度式を用いて解析。

OA4.1 Preto (Natural Resources Canada, カナダ) Factors affecting hazardous emissions from residential wood-burning
appliances
家庭で薪を燃やした場合とペレットを燃やした場合に発生するダイオキシン類やVOCなどの発生量を比較し、
ペレットの方がこれらの発生が抑制できることを指摘。

OA4.2 Omori (TAKUMA, 日本) Gasification of woody biomass by CFB and hot gas cleaning system
ガス化のガスのタール処理に高温のセラミックフィルタと触媒分解を行い、2-4 g/m3Nのタールを最終的に50 mg/m3Nに。
触媒はドロマイトとニッケル。

OA4.3 Corella (Univ. Complutense of Madrid, スペイン) Experimental conditions to get less than 2 g tar/Nm3 in a
fluidized bed biomass gasifier
これまでの経験で、2 g/Nm3以下にタールの発生量を抑えれば十分に対応できることがわかっているとして、
酸素当量比、1次空気量、2次空気量、2次空気吹き込み高さなどのタール生成量に及ぼす影響を確認、この条件を求める。

OA4.4 van der Drift (ECN, オランダ) The Trec-module integration of tar reduction and high-temperature dust filtration
高温で粒子の移動層を通すことによってチャーとタールの一部を除去する装置を提案。タールの露点も350℃から170℃に下がる。

OA7.1 Seeman (PSI, スイス) Methanationo f biosyngas and simultaneous low-temperature reforming first results of long
duration tests at the FICFB gasifier in Gussing

OA7.2 Renk (Forschungszentrum Karlsruhe, ドイツ) One-step demithylether synthesis from synthesis gas ex biomass

OA7.3 Day (Eprida, 米国) Economical carbon capture, storage andutilization while producing renewable hydrogen and
transportation fuels

OA7.4 Naber (Biofuel, オランダ) Conversion of biomass residues to transportation fuels with the HTU process
350℃程度の高温高圧の水中でバイオマスから直接液化油を得るHTUプロセスで、タンパク質を最初に回収し、
飼料などとして利用するバイオリファイナリを提案。

展示会場では、欧州の企業が中心でバイオマスガス化などのプラントやスチームタービン、タール処理プロセスなど要素プロセスの紹介と、バイオマスに関連する各種プログラムの紹介が主に行われていました。
オランダBTG社のブースでは出版されたばかりの Handbook Biomass Gasificationが90 EURで販売されていましたが、
カラーの挿し絵も多く、ガス化の各側面からの説明が行われていて良さそうでした。(1冊購入しましたが、まだ読んでいません。)
 このほか、欧州のバイオマスや新エネルギー関連の会社の
一覧をまとめた冊子の無料配布もありました。

初日は以上です。

<第2日目>

第14回エネルギー産業ならびに気候保護のための欧州バイオマス会議および展示会2日目(10月18日)の報告です。今日の午前中は全体セッション、午後は個別セッション12(口頭発表セッション9+ポスターセッション3)とワークショップが1つでした。ポスターセッションは初日と同じものが張られており、今日の最後に貼り替えです。セッションリストは以下の通りです。

OB1, OB4, OB7 R&D of Bioenergy Conversion Technology Systems. Thermochemical Conversion - Gasification and Pyrolysis
OB2, OB5, OB8 Demonstration and Market Implementation of Bioenergy in the Heat and Electricity Sector
OB3 Application of biomass for energy and industrial products
OB6, OB9 Biomass Resources
WS1 Bioenergy 2030: a vision

松村が参加したのは全体セッション、OB8、ポスターセッションですので、これらについて以下に報告します。

<全体セッション>

PB1.1 Fernandez (Polytechnic Univ. Madrid, スペイン) State of the art of Cynara as an energy crop
栽培用作物として24 t-dry/ha yの生産性を有する草本cynara種 の検討。種から油を取ってバイオディーゼルも生産できる。

PB1.2 Elbersen (Alterra, オランダ) Biodiversity impacts of energy crop production on agricultural land use and
farmland habitats in Europe
生物多様性を考慮すると、バイオマスのプランテーションには現在集約的な栽培を行っている場所で行うことがよいとする提案。

PB1.3 Grassi (EUBIA, ベルギー) Solutions for the safe application of wastewater and sludge for high efficient biomass
production in short-rotation -plantations
廃水処理によって安く灌漑用の水と肥料を得、これを用いてバイオマスのプランテーションを行う提案。詳細は、www.eubia.org

PB1.4 Larsson (Agrobransle, スウェーデン) Agrobransle AB-The worlds leading company on commercial short rotation
willos (Salix) coppice (SRC)
短周期栽培の柳を生産してきた同社の紹介。1周期目で収支はとんとん、2周期目には271 ユーロ/ha yの収益があると試算。

PB1.5 Kwant (SenterNovem, オランダ) Biomass Action Plan in the Netherlands
オランダのバイオマス利用計画。2010年にエネルギー供給の5%、電力の9%を再生可能エネルギーとする目標に向けてBERK というバイオエネルギー導入のプラットフォームをおく。

全体セッションの後半は、ラウンドテーブルとして各国の状況を報告ならびに国際協力について議論する枠組みでしたが、各自の話が長く、また、パワーポイントのトラブルもあって議論には至らず、報告のみでした。議長はGrassiとPalzでした。

Visconti (DOE, 米国) 脱炭素社会を目指して共通のビジョンを有し、適切な補助の元に中国、メキシコ、
インドなどとのパートナーシップを促進するべき。
Erbach (ARS, 米国) 国際的な情報共有が協力の促進のために必要。官僚的な国の間の障壁を取り除くべき。
Schuppers (EU) 欧州ではロシア、中国、インド、米国などと共同事業を進めている。
Walter (ブラジル) ブラジルではが祖ホールの導入を進めた結果、生産量当たりのコストも下げることができた。
Sviridov (ロシア) 国際協力を進めている。
Liu (中国) 中国ではバイオ燃料の利用を進め取り、5省では既にエタノール混入ガソリンの供給体制を確立、4省では主要としに
ついてE10の供給体制を確立、さらにバイオディーゼルの導入も行っている。また、各国との共同事業も多く行っている。
Utria (世界銀行) 中国、メキシコ、インドではなく、
もっと貧困にあえぐアフリカに現在の予算の1%でも回すことによって大きな改善が得られる。
Palz (ドイツ) ドイツでは欧州指令に従ってバイオ燃料の導入を促進する方向。エタノールの税免除、遊休地の利用など。政策が重要。
Kiuchi (日本) NEDOのバイオマス事業の紹介。


<個別セッション>
OB8.1 Wielgosz (Energokrak, ポーランド)
Co-combustion of coal and biomass-Polish experiences in environment protection aspect
石炭と木質バイオマスを混焼することによって環境へのインパクトがどう変化するかを計算。
エネルギーベース5%の混入で大きな効果が得られる計算結果だが、計算仮定など不明。

OB8.2 Konings (KEMA, オランダ) A 1000 MWe biomass fired power plant, utopia or reality?
バイオマスベースの1000 MWe プロセスが実現できるかの検討。海外(北半球各国)からの資源輸入を行い、
100ユーロ/t-wetの木質を用いて、8.2 ユーロセント/kWheの電気が得られる。

OB8.3 Koornneef (Utrecht Univ., オランダ) Technological learning in fluidized bed combustion-an experience curve approach
流動層燃焼発電装置のデータを整理。気泡流動層は30 MWe まで、循環流動層は300 MWe 以上に規模が拡大。
スケールファクターは、0.6〜0.8。

OB8.4 Veijonen (VTT, フィンランド) European Biomass CHP in practice
68のバイオマス発電プラントのデータを収集し、その結果を整理するプロジェクトの紹介。
詳細は、www.bio-chp.force.dk に近く中間報告を掲載、最終報告は2006年2月。

<ポスターセッション>
ガス化、熱分解、バイオディーゼル、燃焼などの技術がまんべんなくカバーされている印象でした。
国益のガス化、途上国におけるブリケット生産利用、バイオマスからのコークス生産などのテーマも見られました。

ここまでの会議参加で感じたことですが、会議の間隔が前回のローマから1年少ししかないため、
政策的にも研究的にも大きな変化が見られる状況ではないように思えます。
方向性としては、バイオマスについての興味は大きく、プロジェクトも次々に立ち上げられているようです。
導入政策も採られており、ドイツでも政権交代はありましたが基本路線は保持されるだろうという見込みです。
アジアからの参加者は相変わらず少ない状況ですが、欧州がアジアのバイオマス利用も進めていることは発表などの端々で感じられます。
中国からの報告のバイオマス関連の事業のリストを見ると欧州との共同事業が多く、
オランダは利用するバイオマスの25%を海外からの輸入、特に、マレーシアから多量のパーム油を導入しているとのことです。

2日目は以上です。

<第3日目>
第14回エネルギー産業ならびに気候保護のための欧州バイオマス会議および展示会3日目(10月19日)の報告です。
今日の午前中は全体セッションと個別セッション4、午後は個別セッション12(口頭発表セッション9+ポスターセッション3)と
ワークショップが1つでした。セッションリストは以下の通りです。
なお、配布の資料で数えたところ、日本からの参加者は25人、全体の2.5%程度でした。

OC1 R&D of Bioenergy Conversion Technology Systems. Thermochemical Conversion - Gasification and Pyrolysis
OC2, OC5, OC8, OC11 R&D of Combustion and Co-Combustion + R&D of Biological Conversion and Biofuels Production
OC3, OC6 Demonstration and Market Implementation of Bioenergy in the Heat and Electricity Sector
OC4, OC7, OC10 Biomass Resources
OC9, OC12 Demonstration and Market Implementation of Bioenergy in the Transportation Sector
WS2 Forum on International Cooperation and Assistance to Developing Countries on Bioenergy

松村が参加したのは全体セッション、OC1、ワークショップですので、これらについて以下に報告します。
一部、冊子のプログラムから変更になっていました。


<全体セッション>

PC1.1 Zacci (Lund Univ., スウェーデン) Fuel ethanol production from lignocellulose via simultaneous saccharification
and fermentation-Technical and Economical Challenges
木質バイオマスを酸(硫酸かSO3を利用)で2段階に前処理し、同時糖化発酵する技術の開発。
6炭糖、5炭糖、両方の最大収率を得る条件は異なる。

PC1.2 van der Heuvel (NOVEM, オランダ) Results of the VIEWLS Project
バイオ燃料を用いた場合の検討、どのような場合でも二酸化炭素削減に寄与する。70 g-CO2/km 程度。

PC1.3 Wiesenthal (European Environment Agency, デンマーク) Environmental considerations for bioenergy production
欧州のバイオエネルギー生産性の検討。2010, 2020, 2030年で35 Mtoe, 85 Mtoe, 125 Mtoeと上昇。
これは未利用地の利用、生産性の向上、品種改良による。

PC1.4 Hervouet (Total, ?) Biomass derived transportation fuels: Prospects for the next ten years
7つのETBEプラントを有するTotal社の紹介。合成ガスからの間接液化が将来の方向性と。

PC1.5 Seyfried (Volkswagen, ドイツ) Biomass for transport-the message of a leading European car company
同社がサンフューエルと呼ぶフィッシャー・トロプシュによるC8〜C15の間接液化燃料が将来の方向と。PM、NOxの規制にも十分に対応。


<個別セッション>
OC1.1 Fassinou (CIRAD-Foret, フランス) Char quality and tar formation interdependence experiments in a new two-stage
gasifier
(会場を間違えて聞けず。てっきり全体セッションの会場であるものと…)

OC1.2 Karellas (Tech. Univ. of Munchen, ドイツ) Online analysis of the tar content of the product ogas from biomass
gasification. Application on the BioHPR
ヒートパイプを用いて間接加熱ガス化を行う試み。水素を多く含む高い発熱量のガス(空気部分酸化と比べて)が得られる。

OC1.3 van der Drift (ECN, オランダ) MILENA gasification technology for high efficient SNG-production from biomass
一つの反応器の中で循環流動層と気泡流動層を作り、チャー燃焼による間接加熱ガス化を行う装置を提案。Correllaから、
腐蝕で隔壁がぼろぼろになると指摘。

OC1.4 Rauch (Vienna Univ. of Tech., オーストリア) Biomass gasification with a O2-adsorptive bed material to produce a
hydrogen rich gas
グッシング型の間接加熱ガス化装置の循環流動媒体にドロマイトを混入することで二酸化炭素を吸収
水素を主成分とするガスを得ることに成功。グッシングに適用を考えている。

OC1.5 Spath (NREL, USA) Thermochemical conversion of biomass to syngas and subsequent production of hydrogen-A
technical and economic analysis incorporating research data
オリバイン(流動層の流動媒体に用いるカンラン石粒子)にニッケルを含浸させることでタール成分の分解を促進。


<ワークショップ>
WS2 Forum on international cooperation and assistance to developing countires on bioenergy
最初から参加することはできませんでしたが、前回の途上国が主にアフリカを対象としたもので合ったのに対し、
今回はアフリカ色がかなり薄まっており、東欧や中国、インド、ブラジルなど比較的発展の進んだ国での生産
、利用が取り上げられていました。
アフリカは食料生産が先、という見方もあるようです。
具体的な技術として、ペレットやブリケット、甘コウリャンによるエタノール生産、ガス化による水素生産などがあげられています。
個人的な意見ですが、既にバイオマスの輸出入が現実レベルで進められている中で、
すぐに実現、導入できるこれらの国々が対象として強く興味が持たれ、各種の取り組みが進められているものと思われます。

3日目は以上です。

<第4日目>
第14回エネルギー産業ならびに気候保護のための欧州バイオマス会議および展示会4日目(10月20日)の報告です。
今日の午前中は全体セッションと個別セッション1(ポスター)、午後は個別セッション12(口頭発表セッション9+ポスターセッション
3)とイベント(バイオマス産業日)が1つでした。セッションリストは以下の通りです。

OD1, OD4, OD7 R&D of Combustion and Co-Combustion + R&D of Biological Conversion and Biofuels Production
OD2, OD5, OD8 Biomass Resources
OD3 Economics and Benefits Deriving from Biomass Process Technologies, Integration and Simultaneous Production
OD6, OD9 International Co-operation for Accelerating the Large-Scale Worldwide Deployment of Bioenergy. Biomass in the
Developing World

松村が参加したのは全体セッション、ポスターセッション、OD7の一部ですので、これらについて以下に報告します。


<全体セッション>

PD1.1 Valkenburg (Univ. of California, USA) Availability assessment of carbonaceous biomass in the united states as a
feedstock for thermochemical conversion to synthetic liquid fuels
米国で農業残差などの各種廃棄物系資源からフィッシャー・トロプシュ油を得る場合、940 Mbbl/y が可能と。

PD1.2 Simon (Tech. Univ. of Munich, ドイツ) Potential of biomass concerning energy production and agricultural income
in Germany and new EU memberstates
バイオマス資源量と技術についてのモデルを作成して、ドイツや新たにEUに参加した国のバイオマスポテンシャルを予測。

PD1.3 Overgaard (Elsam Engineering, デンマーク) Full-scale tests on co-firing of straw in a natural gas-fired boiler
専用バーナを用いて稲わらを天然ガス火力で混焼する実験を実際のプラントで行った結果の報告。既存プラントの改良は困難が多い。
会場からはガス化して加えるのが妥当との意見も。

PD1.4 Amon (Univ. of Natural Resources and Applied Life Sciences, オーストリア) Anaerobic digestion of energy crops
state of the art of biogas technology and future developments
メタン発酵技術の概要。トウモロコシを丸ごとメタン発酵した結果で、4 kg-VS/m3 dで0.4 Nm3-CH4/kg-VSを得る。

PD1.5 Preto (Natural Resources Canada, カナダ) A pyrolysis based biorefinery approach
カナダに各種の木質資源があることを示した上で、熱分解油として各種製品を得るバイオリファイナリを提案。
熱分解油とすれば輸送性も向上。

PD2.1 Monot (Institut Francais du Petrole, フランス) Biological conversion of lignocellulosics biomass: Present and
future of Biofuels production
リグノセルロースを前処理、加水分解してエタノールを得る技術の概観。

PD2.2 Hernandez Gonzalvez (IDEA, スペイン) Biomass Energy in Spain
スペインのバイオマスエネルギーの現状、バイオガス4167 ktoe, バイオ燃料 230 ktoe。2010年の目標は、それぞれ5040 ktoe,
1972 ktoe。現在、40万tをベルギーやオランダに輸出している。

PD2.3 Walter (UNICAMP, ブラジル) Bio-ethanol trade opportunities and challenges for Brazil
ブラジルは現在410 Mtのサトウキビから28 Mtの砂糖と16.5 Mtのエタノールを作っている。
将来的に輸出の余力を持つのはブラジルくらいであり、エタノール需要は増加。自由貿易を希望。

PD2.4 Yamamoto (CRIEPI, 日本) An evaluation of bioenergy conversion technologies using a global land use and energy
model
土地利用とエネルギーシステムのモデルを用いてバイオマスの導入量を予測。
400 $/t-Cの炭素税で2050年に世界のエネルギー消費1000 EJの25%がバイオマス。税金がないと59 EJ。

PD2.5 Grassi (EUBIA, ベルギー) Low-cost production of bioethanol in the E.U. through integrated full processing of
sweet-sorghum crops
甘コウリャンを原料として全体利用で安価にエタノールを生産する提案。ヘクタール当たり1100ユーロの収益を得られる計算。


<ポスターセッション>
貼り替えたポスターですが、燃焼、生物化学的変換、新しいバイオマス種、導入システム検討などが中心でした。
特に導入システムは、欧州の個別の地域での検討や、発展途上国からのものがあり、
後者は、コスタリカ、トルコ、インド、ギリシャなどから数件ずつ出されているなど、
これらの国がバイオマスに興味を持っていることが感じられます。
先のローマと比べても、発展途上国の参加が広がっていることが感じられます。
輸出入についての検討も行われており、ペレットの欧州市場、
フィンランドのバイオマス貿易状況(全体で49.5 PJの輸入)などのポスターがありました。
また、バイオマス関連のネットワーク作成も進められています。


<個別セッション>
OD7.4 Oliveira (INETI, ポルトガル) Raw materials for biodiesel production in Portugal
ポルトガルでは利用できる土地を全て使ってひまわりや菜種を生産し、
また廃油を回収してバイオディーゼルを作っても欧州の目標値には到達できず、輸入が必要。


4日目は以上です。

<第5日目>
第14回エネルギー産業ならびに気候保護のための欧州バイオマス会議および展示会5日目(10月21日)の報告です。
今日は最終日で、午前中に個別セッション6とワークショップ、午後はクロージング・セッションでした。セッションリストは以下の通りです。

OE1 R&D of Combustion and Co-Combustion + R&D of Biological Conversion and Biofuels Production
OE2, OE5 Biomass Resources
OE3, OE6 International Co-operation for Accelerating the Large-Scale Worldwide Deployment of Bioenergy. Biomass in the
Developing World
OE4 Economics and Benefits Deriving from Biomass Process Technologies, Integration and Simultaneous Production

松村が参加したのはOE2, OE4, クロージング・セッションですので、これらについて以下に報告します。


<個別セッション>


OE2.1 キャンセル

OE2.2 Pigaht (WIP-Renewable Energies, ドイツ) Developing pelleting opportunities in central and eastern Europe
ペレットは丸太やチップよりも輸送性に優れ、特に船で輸送するのが安価。
中央ならびに東部ヨーロッパ諸国からのおが屑の輸入を検討。

OE2.3 Hartmann (Technology & Support Centre of Rnewable Raw Ma, ドイツ) Size classification of wood chips by
horizontal screening-influencing factors
木材チップの篩い分けにおよぼすパラメータの検討。振とう時間を長くしすぎないこと、
また長さの基準には厚みを用いるのがよいことを提案。

OE2.4 Hartmann (Technology & Support Centre of Rnewable Raw Ma, ドイツ) Storage of wood logs-Drying speed and dry
matter losses
木材を室外、室外で覆い、室内の3通りで乾燥した時の含水率の変化。気候によるが、この実験では大きな違いない。
4ヶ月で50%から15%まで。

OE2.5 Bergman (ECN, オランダ) Torrefaction for biomass upgrading
半炭化による粉砕性と輸送性の向上。半炭化ペレットはペレットよりも輸送性、経済性に優れる。

OE4.1 Wyman (Univ. of California, 米国) Progress, opportunities and challenges for biological processing of cellulosic
biomass and policies to accelerate commercialization
リグノセルロース系バイオマスからエタノールを作る技術の概観と実用化への考え方。原料収集を含めて1万t/dの規模が望ましい。

OE4.2 Novak-Zdravkovic (Vrije Universiteit Brussel, ベルギー) Small-scale power generation from biomass
これまでに導入された70のバイオマス利用プロセスを燃料消費規模とコスト、効率について整理。規模が小さいほど発電効率は低下、
各種設備のためかkWあたり初期コストに規模の影響は見られず。小規模へのスターリングエンジンの可能性を指摘。

OE4.3 Makinen (VTT Processes, フィンランド) New concepts for increasing electricity and biofuel production in forest-
products industry platforms and waste platforms in Europe
欧州の森林からIGCCを用いれた 33 TWh/yの発電が可能と試算。バイオマスの価格が問題。

OE4.4 Lange (Forschungszentrum Karlsruhe, ドイツ) Synfuels, electricity or heat from wood residues and cereal straw-A
sysmtes analytical approach
木質バイオマスとわらを熱分解スラリーとし、これをガス化してFT油とする検討。FT油のコストを110ユーロ/MWhと試算。
原油価格がバレル100ドルで競争力を持つ。

OE4.5 キャンセル


<クロージング・セッション>
この会議の国内委員長であるRoyから、バイオマスの導入を進める6つのポイントとして、
地球温暖化、適切な市場、炭素固定、ビジョン、需要に基づいた利益、優先的なプログラムの指摘がありました。
その後、技術委員長のCarrascoから今回の発表の内訳で研究開発が400、導入が330 で政策が重要であることを指摘、
各分野の要約が述べられました。
結論として、バイオマスの効率的な利用のためには適切な政策にサポートされた市場の開発、
これによる持続可能な代替政策の決定と採用が必要であることと、このためには国際的な技術的・経済的な協力が必要とまとめています。
その後、EUBIA賞が National Resources CanadaのEd Hoganに与えられ、ポスター賞が6件発表されました。
最終的な参加者は1142人、日本からは32人の参加とのことです。
次回は2007年春でドイツ、ポルトガル、イギリスの間で調整中、今後は1年半おきの開催とし、2008年秋、2010年春と開催の予定です。
また、世界バイオマス会議は2007年秋に米国で開催の予定とのことでした。


――――――――

今回の会議は、前回から1年半しか経っていないこともあって大きな変化や技術発展もありませんでしたが、
それでも発展途上国が以前より参加しており、アジアからの参加も中国を始めとして目立つようになったことが感じられます。
エストニア、ロシア、コスタリカ、ギリシア、インドなどの国々もバイオマスのシステム導入や輸出の観点で参加していました。
欧州ではバイオマス導入が現実的な流れとなっており、また資源量からバイオマスの輸入は当然で、
これらの発展途上国のバイオマス資源の利用が既に行われ、また検討が進められていることが分かります。

また、現実的な検討が多くなったこともあってか、バイオリファイナリーについてはトーンダウンしているように感じられました。
うまく経済性の出せる製品によってエネルギーの価格を下げる事例は将来に向けての希望的検討以外では見られず、
むしろエネルギーそのものの導入目標のためにエネルギー目的で輸入、利用を進める流れのように見えます。

 資源量については、山本様の検討で2050年に全世界で、森林資源で500EJ、農業残さで50 EJ という数字が出ていますが、
欧州で耕地を利用して10 EJ、米国でも10 EJ、といった数字が出ており、
耕地からの生産量としては数10 EJというのが妥当なところのようです。
日本の1次エネルギー供給が23 EJ、現在の世界の1次エネルギー供給が400 EJですから、
森林資源を用いないと世界的にもバイオマスのエネルギー供給量は5%といった所でしょう。
発展途上国のエネルギー消費の割合が少ないことを考えれば、現在の欧州のエネルギー導入目標を満たすために、
バイオマスの輸入を行うのは当然であり、どこからどのような形態で輸入するのがよいかという議論の段階です。
既に欧州内でのバイオマス輸出入は広く行われており、このことを含めて市場形成を求める意見が出ています。
さらにオランダはマレーシアからパーム油を輸入、ブラジルはエタノールの輸出に熱心な状況で、
既に世界的に安価なバイオマスの貿易が進められる段階に来ています。
欧州が発展途上国のバイオマスを確保した段階で、京都議定書の次の段階の二酸化炭素の削減を打ち出して来ることは予想されますし、
そのときに日本がどの程度海外のバイオマスを利用できる状況にあるかということが懸念されます。
より積極的な国際戦略の策定と、同時に国内のバイオマス利用の必要性の確認と枠組みの確立の必要性を感じています。

 技術開発では、各種の実証事業が進められている様子が見られました。
興味深かったのは半炭化ペレット、ウィーンの二酸化炭素吸収ガス化、1 t/dの移動式バイオマススラリー化装置です。
もちろん、松村の参加できなかったセッションの方が多いので、これがすべてではないと思います。
バイオマス部会からの参加者の追加コメント、情報をいただければ幸いです。


以上です。